トップ > 最新情報 > 東京工業大学精密工学研究所知財シンポジウムが開催されました。(2007年11月6日)
2007年11月6日,大岡山キャンパスにおいて,「第4回東京工業大学精密工学研究所知財シンポジウム-半導体産業における知的財産の「創造」,「保護」,そして「活用」-」が開催されました。同シンポジウムには,半導体関係の技術者,研究者をはじめ,弁理士を初めとする知的財産専門家,経営者,企画・調査関係者等,幅広い領域から約200名の参加者を集めました。
今年のシンポジウムは,知的財産を「創造」,「保護」,「活用」という3つのフェーズで捉え,経営者,知財専門家,研究者等,実務家である講師の方々から,各フェーズにおけるポイントについて,実例を通じて紹介して頂きました。
「創造」の場面では,半導体産業が様々な知的財産を産み出す研究開発分野であることが紹介されました。EDA産業では,設計資産というビジネスの客体自身が知的財産であり,エンジニアの研究成果はそのまま知的財産として商品となるために,いかに有効な設計資産を産み出すかが企業の競争力の原動力であることが紹介されました。また,東工大を初めとする大学は,魅力的な創造活動がなされており知的財産を産み出しているが,その創造活動を実際のビジネスへと橋渡しするには,もう一段上の努力を要するという課題が提示されました。
「保護」の場面では,法的保護の必要性が強調されました。特に,中国など,海外諸国における模倣品対策を行うためには,その国における法的権利を確保することが不可欠であることが指摘されました。特に,模倣品対策に対する批判が強い中国については,中国の知的財産関係者が真摯に知的財産の啓蒙活動を実施する姿勢を考慮すると,近い将来に,中国においても知的財産権の保護水準が満足し得るレベルに到達することが予想されるので,その日に向けて今から周到な準備が必要であるとのアドバイスがありました。
「活用」の場面では,特許権がなければ,どんなに良い商品開発ができても,ビジネスができなくなるほど,特許権がビジネスの世界では大きな役割を果たしていることが紹介された。また,企業としては,最後の手段として特許訴訟を選択しているのが実際であるが,争われた場合には戦えるだけの体制が必要であることが力説されました。さらに,特許情報は,研究開発動向を分析する上で貴重な情報源であり,企業の技術力を反映する指標として企業評価に活用できる実例が紹介されました。
今年で4回目を向かえた知財シンポジウムは,産学連携推進本部との共催という形で,昨年以上に充実したプログラムを提供することに成功しました。来年以降,これまで培ったシンポジウムの個性を伸ばし,さらなる飛躍を目指していきたいと思います。
シンポジウムプログラム委員長 大嶋洋一(精研客員教授)