トップ > 最新情報 > 里教授の研究に関する記事が科学雑誌「Newton」(2013年8月号)に掲載されました。(2013年7月18日)
金属は紀元前から利用され,今日においても人類の文明・生活を支えている重要な素材である.さらに,過酷な状況での使用や軽量高強度合金に対するニーズが高まり,近年,多岐にわたる基礎研究ならびに応用研究が行われ,日々進展している.本記事では,金属の特徴とは何か,金属の強さは何によって決まるのか,「最強金属」とは何か,また,資源戦略や地球環境保全の観点からの今後の金属材料とは何か,などについて最近の研究成果をもとに解説している.たとえば,合金組成の設計指針,加工・熱処理プロセスの各種工夫,ミクロ組織やナノ構造の解析と制御の重要性等について具体例をあげて紹介している.特に,同じ合金成分であっても材料特性が大きく異なることはよくあり,これは合金中の原子配置や格子欠陥の存在状況,さらには極微量の添加元素の差によるものであることを説明している.金属は格子欠陥の導入でより強くなるという特異な性質をもっている.今後の目標は,高性能であることは言うまでもなく,リサイクル性にも優れ,また,レアメタルなどをほとんど使わずに資源的に豊富な元素を活用する金属材料が求められることを紹介している.