居室: R2-514
電話: +81-45-924-5050
E-mail:msato(at)pi.titech.ac.jp
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本研究所は,1954年に本学の精密機械研究所と電気科学研究所とが合併して発足したもので,本学に四つある附置研究所のひとつです。その起点を合併前の精密機械研究所創設に求めれば,73年の歴史をもつことになります。発足以来一貫して,研究所の理念を,「精密工学における学理の究明と応用」として,これを設置目的に掲げ,「精研」の略称で各分野に名を馳せていると自負しております。精研では,古賀逸策博士(水晶振動子の研究),中田孝博士(歯車工学と自動制御の研究)2名の学士院会員を輩出して,昨今では伊賀健一博士(面発光レーザの開発)の研究も世界的に評価されています。
研究所は,機械,電気,情報,材料分野の教員から構成されていることを特色としています。そして,学部をもたない大学院大学創立に協力するという旗頭のもとで,1975年9月に大岡山キャンパスから,すずかけ台キャンパス(当時は長津田キャンパスと呼称)へ移転しました。その後1993年には従来の小部門制から大部門制に改組し,2004年には大学の国立大学法人化を経て,現在に至っています。改組を前に「精密と知能を融合した新しい精密工学」の創設を目指して,英文名称を「Precision and Intelligence Laboratory」と改め,略称を「P & I Lab.」としてその方向性を示しています。
研究所は各分野からなる五つの大部門(15研究分野)を核に構成されており,これらを正四面体の各頂点とその中心に位置づけて分野間の連携が円滑にできるように構成されています。これに加えて2000年に文科省のCOEプログラムから発展したマイクロシステム研究センター,2008年にセキュアデバイス研究センターを設置し,さらに知的財産利用支援システム研究部門(客員部門),先端フォトニクス研究部門(客員部門)などに客員教員を配置して,研究を発展させてきています。なお,マイクロシステム研究センターは10年の時限を迎えたため,2010年4月よりフォトニクス集積システム研究センターに転換して,新たな活動を推進しています。
組織は,常勤の教員(教授17名,准教授17名,助教24名,定員ベース)で構成され,事務部職員が事務支援をしています。なお,技術職員は2007年に全学集約されて研究所の定員外となり,それに伴って,付属工場業務は本学の技術部傘下の精密工作技術センターによる全学支援業務となりました。施設面では,1996年に建設された創造研究棟を有し,本研究所と資源科学研究所ならびに応用セラミックス研究所と共同で研究が展開されています。さらに本年度は新設の産学共同研究棟へのセキュアデバイス研究センターの移転を予定しています。
4附置研究所と新設された像情報工学研究所などの研究組織運営を統合化する,統合研究院が,2010年4月に設置されました。そして,研究所帰属の教員の一部を,統合研究院傘下のソリューション研究機構に,流動教員として異動させ,ソリューション研究を実施させることになりました。これにより,グリーンICEプロジェクトや,ニューロリハビリテーションプロジェクトとして参画をしています。
さて,北條春夫前所長のあとを引き継ぎ,2012年4月より精密工学研究所長に就任いたしました。2011年3月の東日本大震災から早くも二年余りが経ち,災害の傷跡はいまだに十分には癒えておりませんが,少しずつ復興の兆しが見えてきているように思います。本学でも延期をしておりました創立130周年記念式典を一昨年秋に無事執り行うことができ,キャンパスの中も次第に落ち着きを取り戻してきています。精研も震災直前に耐震改修工事を無事終え,装いを新たにして次なるステップを踏み出しました。未来への社会の進化に向けて,従来からの伝統的な分野における基礎・基盤研究から,新たな分野への展開まで,社会を支え,先導する工学として精密工学の名称に恥じない研究をバランスよく実施して,真に社会が豊かになるべく貢献してゆかなければなりません。民間との共同研究もさらに積極的に推進し,社会に開かれた研究所として今後も発展させてゆく所存です。なにとぞご支援をお願い申し上げます。